おとうさん、14年ぶり2度目の北海道自転車旅にいよいよ出発です。
いまの状況で本当に旅なんて出来るのか?
医師の反対や家族の心配と励ましを背に踏み出します。
統合失調症が行く北海道自転車旅in2022第一夜。
ご覧ください。
2022/8/5 5:30自宅
ワクワクしてなのか、いつもの不眠なのか4時に目が覚ます。
いつもはすぐにパソコンを開きますが、今日から帰ってくるまで開きません。
クライアントから来る通知もオフにします。
いつもどおり静かに一階に降りて、自分と妻の分の珈琲を淹れます。
妻は毎朝、僕の淹れた珈琲とトーストを食べるのが日課です。
喫茶店より美味しいと言ってくれるので、僕のいない間も美味しく珈琲を飲めるようにレシピを書いて置いていくことにしました(今度機会を見て公開します)
夢の中の息子を軽く起こしてベットからいってらっしゃいをもらい、妻に見送られ、いよいよ14年ぶりの北海道自転車旅の始まりです。
国道36号
朝早くに出発するのには、眠られないほかにもう一つ理由があります。
市内の国道36号です。
ここは路側帯が狭く、大きな排水溝が連続し、しかも昨シーズンの大雪の影響でアスファルトが荒れています。
走りにくく交通量も多く危険なので、なるべく車の少ないうちにクリアしたかったのです。
約30分走ってローソンに着きました。
20キロの荷物はやはり重いのか、足が張っています。フラ付きもたくさんして思いのほか疲れたので一旦休憩することにしました。
長く走るには、いかにがんばるかよりも、いかに休むかが大切になります。
生きる事と同じです。けど進み続けなければいけません。
ローソンには少しの荷物を積んだロードバイクが停まっていました。
サンドイッチを持って出てきたので声を掛けてみると、ホテルに泊まりながら旅をしていると言います。
それはそれで快適でいいな、荷物が軽ければ走ることを思い切り楽しめるし。
登別 私設おもちゃ博物館
温泉街で知られる登別に入りました。
急な坂道を登り、一気に下ったところで休憩をしていたら、どこからか呼ぶ声がします。
辺りを見渡しても誰もいないので出発しようとしたらやはり呼ばれています。
すると国道沿いにあるワカキ玩具店の二階の窓からおじさんが手を振って手招きしているではありませんか。
自転車を押して道路を渡るとおじさんは「疲れたべ、甘酒飲んでけ、2本目の信号左折したところにいるから」といってどこかへ行ってしまいました。
少し戻るとおじさんが手を振っていた「入んな」と言われ家の前に自転車を停めて入っていくとキッチンを通り過ぎてドンドン奥に入っていきます。
玄関の前に大きな狸の置物があったので骨董好きなのかな?コレクションを見せたいのかな?と思いながらついて行くと、案の定、鉄瓶が並んでいたので、それなりにリアクションを取りながらついて行くと、古い映写機やビデオカメラが無造作に置いてあります。
「足元気を付けれ」と二階に上がると階段の脇には古いガンダムのポスターが。
それも一枚や二枚ではありません。
よく見ると部屋の中には所狭しとガンダムや仮面ライダー、ゴジラにガメラ、エヴァンゲリオンまで物凄い数のおもちゃが所狭しと並んでいるのです。
「なしたのこれ?」「好きで集めたらこうなった。時々こうして見てもらってるんだ」
奥に行くとディアゴスティーニの週刊ヤマトとガンダムが全巻揃っています「仮面ライダーも行きたかったけど金続かなかった」 そりゃそうだ。
「いや凄いね、今度息子連れてゆっくり来るわ」
僕がガンダムのフィギュアに興味津々なようにおじさんも僕に興味があるようで、旅に出た経緯を美味しい甘酒を飲みつつ約1時間談笑して元気をもらいました(ほんとにおいしかった)
白老ふれあい広場で昼食
思わぬところで時間を食ったがこれも旅。これそ旅の醍醐味。
いや、むしろこれを求めて旅に出たのかもしれない。
まだ旅慣れていない身体に甘酒チャージして再出発です。
目指すは苫小牧。
11時。そろそろお腹が空いてきました。
コンビニでもよかったけど食料をたくさん持って来たし、食べて少しでも軽くしたい。
どこかに公園はないかとグーグルマップで検索すると、白老の駅前にふれあい広場という公園を見つけました。
画像を見るときれいでいい感じです。
ここでインスタント麵を作って食べる事にしました。
こうやって行き先々で行く場所を簡単に調べられるのは前回の旅とは大きな違いです。
住宅街を抜けふれあい広場に着くと、遊具は使えなくなっていましたが、ベンチは使ってよさそうだったので荷物を広げさっそくインスタント麵を作ります。
ガソリンストーブでお湯を沸かし、そうだソーセージも入れよう。ナイフでソーセージを厚めに切って投入。玉子もあれば完璧だが割れたら大変なので持ってこなかった。
準備と片付けをすると一時間あっという間です。
荷物を積みなおして再出発。
首が痛いのでヘルメットを脱いでバッグに括り付けた。
15:00 苫小牧駅
何もない直線道路をひたすら走ります。
追い風なのかスピードも出る。メーターでは18㎞を維持。荷物の重さを考えると快調です。
スピードが出るので怖くなり歩道を走りました。
本来、自転車は車道を走るのがルールだし、その方が段差が少なく体にかかる衝撃が少ないので楽なのですが、なんだか怖くて歩道を走らせてもらいました。
歩行者をうしろから抜くときは5mくらい手前で「すいませ~ん とおりま~す」と声をかけると嫌な顔をせずに避けてくれるし、それどころか「がんばって!」と声をかけてくれる人もいます。
苫小牧市街に着きました。
ここは以前ダイエーがあって、そのなかにモンベルの直営店が入っていて何度も来たことがあります。
通り過ぎようと思いましたが、なんとなく駅に寄ってみることに。
苫小牧は自宅から車で一時間くらいですが、駅に来たのは初めて。北海道は車社会なので学生時代に電車に乗らないとその後ほぼ電車に(北海道では汽車と呼ぶ)乗ることはないのです。
駅に着くと浴衣姿の女性がたくさんいます。お祭りでしょうか。おじいちゃんに手を引かれた小さな子どもを見ながら妻に電話。「もうそんなとこまでいったの?気をつけてね」
無人駅でステーションビバーク
日が傾いてきました。そろそろ寝床を決めなくてはいけません。
苫小牧港でテントを張ろうかと思ったけど、もう少し進む時間も体力も残っています。
予定では追分まで行くはずです。
まあもう少し走りながら考えよう。
苫小牧を過ぎると一気に森の中になり、薄暗くなってきました。いかにも熊が出そうな雰囲気です。
怖くなってきたので真っ暗になるまえに「はやきた駅」でステーションビバークすることにしました。
人生初のステーションビバークです。酔っ払いのおじさんが終電後にホームで寝るのも広義ではステーションビバークです。
それをきれいな格好でちゃんとするのがステーションビバーク(きれいでちゃんとしているかの判断はお任せします。)
はやきた駅に着くと駅そのものは無人だけど、となりにお土産屋さんを併設した簡単な喫茶店がありました。
お店の人に聞くとこの先にあるコーヒースタンドの珈琲だといいます(名前は失念)
250円と格安だったので無類の珈琲好きの僕は迷わず飲むことに。
シティローストの飲みやすい珈琲が疲れた体に染み渡ります。
ブラックで飲んだので砂糖が余った。ちょっと迷って直飲みしてしまった。
当然店員さんに笑われて「どこから?」という話から「これあげる」とスティックシュガーを3本もらった。
珈琲を飲んだあと駐車場で晩御飯の支度をします。
やかんでスパゲッティを茹でてレトルトのハヤシライスソースをかけます。
デミグラスソースが入っているから美味しいはず。
ほらおいしい。
塩味のキツイ焼き鳥缶を食べたら駅舎に荷物を運びます。
意外と広いので自転車も入れてしまった。
ベンチの横にマットと寝袋を広げたら今日の寝床は完成です。
テントを張るより圧倒的に楽だし、コンクリートは平らで快適。
きれいなトイレの掃除用の流しで食器と頭を洗った。
うん、なんだかステーションビバークにハマりそうだぞ。
駅を利用する人も時々(汽車は一時間に一本くらい)通るが、僕みたいな人に慣れているのか、驚かれもしないしジロジロ見られることもなかった(見てはいけないと思ったのかもしれない)
コンセントがあったのでスマホの充電ができる。バッテリーを気にせず家族に電話。今日3回目の電話だ。僕は一人旅に向いていないかもしれない…
走行距離:101.2km
走行時間:6時間22分
平均速度:16㎞/h
最大速度:31.6km/h
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